2006年05月08日

『エリ・エリ・レマ・サバクタニ』

エリエリ.jpg

『エリ・エリ・レマ・サバクタニ』 ★★☆☆☆

浅野忠信演じるミズイ。中原昌也演じるアスハラ。
彼らの奏でる音楽が、不快を伴ったノイズにしか聴こえない。
それで、自殺を促すことで死に至らしめるウイルス感染―レミング病を抑制できると言われても…。たとえ生物学的にそうだとして頭で理解することはできても、感覚として拒否してしまう。
勝手な解釈をすれば、こんな暴力的で、非生産的としか思えないことにも存在が許されることを思えば、今ある世界はなんて豊かなのだろうと。死など考えもつかないだろうと。ウイルスを意思が抑制するだろうと。…本作で説明される解釈とはまったく違うけれど。

さらに、本作を観ていると悲観が生を生み、楽観が死を生む気がする。あえて二極化したが、この外には絶望があり、これは生にも死にも振れる。要するに、振り切れていない悲観は生への執着を生み、楽観は死に対する甘さを生むということ。
あえて述べるまでもなく、前者が、宮崎あおい演じるハナ。後者が、戸田昌宏演じる探偵のナツイシ。結局は、死を意識した上で、生きることを望まなくてはレミング病も、音楽も何も関係ない。とどのつまり、作品の外で自分自身、世界の解釈を完結させてしまっているのだけれど…。

ただ意外に思ったのは、思ったよりも世界がクローズされていること。世界規模の話かと思えば、辺境の地の話でしかないし。もちろん、そこから世界に通じていることは示されるし精神世界にも昇華されることもわかるのだけれど、表向きとしてはハナの救済の形を借りて、ミズイの物語を想像するよう構成されたシンプルなもの。
もちろんそれだけでなく、役者陣…とはいっても本業役者でない人も多いが、青山真治の関係者で固められ身内の祭りのような気がしてならないから。
そんな中、宮崎あおいの存在感は群を抜いている。とは逆に、ミズイの元恋人エリコを演じたエリカ(小田エリカ)の変貌ぶりに落胆は隠せない。『ワンダフルライフ』のイメージが強かっただけに。
posted by やすゑ at 22:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 (あ) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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