2006年05月06日

『小さき勇者たち GAMERA』

小さき勇メたち.jpg

『小さき勇者たち GAMERA』 ★★★☆☆

「平成ガメラ三部作」より六年の月日を経て、ガメラが帰ってきた。
「平成ガメラ三部作」は、怪獣マニアだけでなく、普段怪獣映画を観ない者にも評価された、怪獣映画としては比肩なき傑作。しかし、ターゲットとして怪獣マニアは熱狂し、彼ら以外の大人をも絶賛した一方で、子供たちは切り捨てられた。子供たちの味方であるガメラが子供たちを、ある意味見捨てた。そして怪獣映画の金字塔を打ち立てた。このことは、映画版「クレヨンしんちゃん」にも重なる。
テレビからのおバカ路線を引き継ぐ形で当然スタートしたが、転機となったのが『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲』。昭和への郷愁を大いに誘ったこの作品は、まさに、昭和に幼少、青春時代を送った大人のための「クレヨンしんちゃん」。置いてきぼりを食らわされた子供たちを尻目に大人たちの評価を一気に高め、これまたアニメ映画を、アニメ映画ファンだけでなく、普段アニメ映画を観ない者にも目を向けさせた。監督の原惠一は続く、『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ アッパレ!戦国大合戦』で、その年をも代表しえるエンターテイメントの大傑作を生み出し頂点を極めた。しかし翌年、原惠一は事情により降板。水島努へとバトンタッチされた『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ 栄光のヤキニクロード』は十分に大人に鑑賞に堪えうる佳作ではあるが、少なくとも原惠一が描いたベクトルを一度リセットし、「クレヨンしんちゃん」を子供たちに還した。
本作…『小さき勇者たち GAMERA』の立ち位置を、「クレヨンしんちゃん」に重ねるなら『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ 栄光のヤキニクロード』である。
ガメラは還された。子供たちに。

本作におけるガメラは、そのままヌイグルミ。
「ガメラ」シリーズと人気を二分する「ゴジラ」シリーズにおけるミニラのように、クリッとした目玉が愛嬌たっぷり。富岡涼演じる透の見守る中、孵化したガメラ、子ガメ時代のガメラを演じたのが実在するカメ(ケヅメリクガメ)だけあって愛くるしいのは当然のことだが、成長してからの姿も愛くるしさはそのまま。そこに「平成ガメラ三部作」におけるガメラのような、凄みはない。
というよりも、本作におけるガメラは主役でさえもないのだけれど。タイトルでもサブタイトルに追いやられているよう、あくまで脇役。主役は、涼や、夏帆演じるヒロイン麻衣、涼の遊び仲間、そのほか子供たちである。
ガメラを育てるエピソードなど、そのまま、動物や昆虫などを飼おうとする子供たちの体験がそのまま反映されている。例えば、ガメラを飼うことを子供たちの秘密とするエピソード。大人たちを信じないわけではない。秘密を持つことへの喜び。そんな彼らに対し、大人は羨ましさと疎外感を持つ。また、漫画や彼らのする遊びに今の子供たちが象徴される。(一方で、性別の違う幼馴染同士の家が極端に隣接し、お互いの二階の窓越しに行き来や物の受け渡しができるという、むしろ懐古的な住風景が用意されてもいるのだが)
津田寛治演じる涼の父親や、寺島進、奥貫薫演じる、麻衣の両親たちも大人としての立ち位置を十分に認識させつつ、あくまで子供たちのやることを頭ごなしに否定しない。だからこそ、本作の敵(と言うと大袈裟か)と呼べるのは、頭でっかちで盲目的、典型的に融通の利かない大人の代表である、田口トモロヲ演じる一ツ木参事官や石丸謙二郎演じる雨宮教授かもしれない。

主人公たる子供たちは、現実的とは思えない手段で、大人と、ガメラが直接戦うこととなる海魔獣ジーダス。もちろん、手段を考えるならいくつもある中で現実的な手段も講じられたことだろう。が、あくまで子供たちの映画としての本作は、拾ったカメがガメラだったというおおよそあり得ない起点からのファンタジーを貫き通す。
ひとつに、不思議な力を持つ赤い石。ひとつに、子供たちだけに通うテレパシーのようなもの。彼らはこれらを拠り所、もしくは手段にして戦う。子供じみた、と断じてしまうのは簡単ではあるが、これはこれで良いのではないかと思う。ただ、あくまで“不思議な力”という言葉だけ頼っており、例えば赤い石にしてもどんな力を持つか、どのような過程を経て受け継がれていくのか、など多少の説明があってほしかった。説明不足にもほどがある。

そんな中ひとつ、明らかに子供映画の枠から飛び出ているのが、海魔獣ジーダス。
ギャオスの肉片を食べた爬虫類が変異巨大化して生まれたと説明されているが、ギャオスの面影はなく、むしろ恐竜。T-REXやヴェラキラプトル、トリケラトプス、ステゴザウルスなどメジャー恐竜の類ではなく、ディロフォサウルス。『ジュラシック・パーク』に登場した、脚色された形でのディロフォサウルス。エリマキトカゲに似た小型の肉食獣(実際には中型であったらしいが)と言えば分り易かろう。
さらに、口からは銛のよう、長く伸び武器となる舌を出すわ、おおよそグロテスク。個人的には血肉踊るフォルムであるが。(ただ、動き出すと着ぐるみらしい妙な愛らしさはある)
posted by やすゑ at 23:38| Comment(0) | TrackBack(2) | 映画 (た) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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小さき勇者たち ??ガメラ??
Excerpt: 子供向きではありますが、とても感動しました。生まれたばかりのトトがとても愛らしく、ガメラとの出会いで大きく変わってく少年少女たちの姿に心が温まりました。
Weblog: シアフレ.blog
Tracked: 2006-05-08 15:20

小さき勇者たち 〜GAMERA〜 06年100本目
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